Species Guide
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ヒメハコヨコクビガメ

Pelusios nanus — African Dwarf Mud Turtle

水棲寄りだが陸場も重要な、南中央アフリカ産の世界最小級の曲頸類。浅めの水深と陸場設計が飼育の鍵になります。

近縁種ニシアフリカハコヨコクビガメ(Pelusios castaneus)の生体写真
写真は近縁種 Pelusios castaneus(同属)。Photo by Marius Burger / iNaturalistCC0 1.0
甲長
S(8〜12cm)
難易度
中級
水棲度
高め
初心者向け
△〜○
難易度 ★★★☆☆中級(初心者は陸場管理に注意)
この亀が向いている人
  • ✓ 世界最小級の曲頸類に興味がある
  • ✓ 水棲ガメ飼育経験が多少ある
  • ✓ 60cm以上の水槽と外部フィルターを用意できる
  • ✓ 陸場・産卵場の設計を楽しめる
この亀が向いていない人
  • ✗ 水棲ガメ完全入門の方(まずニオイガメを検討)
  • ✗ 陸場スペースを確保しにくい環境
  • ✗ ろ過能力の弱い水槽しか用意できない
⚠️ 購入・飼育前に必ずご確認ください
本種の飼育・購入にあたっては、最新のCITES附属書掲載状況、外来生物法、お住まいの自治体条例、および販売店の説明を必ず確認してください。法規制・流通状況は変動することがあります。本ページの情報は執筆時点の参考情報です。

どんな亀か

ヒメハコヨコクビガメ(Pelusios nanus)は、アンゴラ・コンゴ民主共和国・ザンビアなど南中央アフリカの湿地・流れの緩い淡水域に分布する曲頸類(ヨコクビガメ科)で、曲頸亜目では最小種とされる世界最小級のカメです。野生下の生態はほとんど研究されていません。「ハコ」と名がつく通り、腹甲の前半部に蝶番を持ち、ある程度引き込む動作ができます(ただしハコガメ類ほど完全には閉じません)。

⚠️ 混同注意:アフリカヨコクビガメとは別種です
アフリカヨコクビガメ(Pelomedusa subrufa)とは属が異なる別種です。Pelusios属(ハコヨコクビガメ属)の特徴は腹甲蝶番の有無で判別できます。販売時に混同されることがあるため、購入前に学名を確認することをおすすめします。

国内での流通はかつてより減少していますが、CB個体が一部の爬虫類専門店で入手できることがあります。丈夫な体質で知られますが、「丈夫=何でもOK」ではなく、ろ過と陸場の設計が特に重要です。

野生環境から逆算する飼育方針

野生では水温が比較的高めの湿地・池・流れの緩い河川に生息します。水中での活動が中心ですが、日光浴や産卵のために上陸する行動が確認されており、飼育下でも陸場は必須です。食性は肉食寄りの雑食で、水棲昆虫・魚・貝・甲殻類などを捕食します。

この生態から逆算すると、飼育の核心は次の3点になります。①水温と水質の安定、②十分な陸場(上陸・バスキング・産卵候補場)、③肉食よりの多様な餌ローテーション。

水槽・水深・ろ過

成体の甲長は8〜12cm前後と小型ですが、活発に動き回る種のため床面積は広めが安心です。単独飼育なら60cm水槽、複数飼育・ペア飼育なら90cm水槽が推奨です。

水深は浅めに:本種は水深を深くしすぎると溺れかけた事例が複数の飼育者から報告されています。水深は13〜15cmを目安に浅めへ抑え、足をつけて呼吸できる浅瀬・流木・陸場などの「逃げ場」を必ず用意してください。
水槽サイズ
60cm〜(成体・複数なら90cm〜)
水深
浅め(13〜15cm目安・逃げ場必須)
フィルター
外部式フィルター推奨
換水
週1〜2回(水質確認しながら)

水質悪化には比較的耐性がある面もありますが、慢性的な汚水はいずれ体調悪化につながります。実飼育ではエーハイム500(外部式)クラスのフィルターを使用しており、週1換水と合わせて水質を維持しています。

フィルター選びのポイント:内部式フィルターは60cm水槽の水棲ガメには力不足になりやすいです。外部式または上部式フィルターへのアップグレードを最初から検討しておくと後悔が少なくなります。

陸場・ホットスポット・産卵場

ヒメハコヨコクビガメは陸場への上陸頻度が比較的高い種です。水槽内に体全体が出られる広さの陸場を確保してください。市販の浮島でも機能しますが、体格に合わせたサイズ選びが重要です。

♀個体を飼育している場合、繁殖期(春〜初夏が多い)には潜って産卵しようとする行動が見られることがあります。実飼育では深さ10cmのタッパー(土・赤玉土など)を産卵場として設置しており、♀が潜る様子を確認しています。産卵可能性がある場合は、十分な深さの産卵床を用意することを強く推奨します。

陸場
必須(体全体が出られる広さ)
バスキング温度
30℃前後
産卵床(♀)
深さ10cm以上の土場を検討
UVB
UVB 1.0〜2.0

水温・気温・保温

実飼育では水温27〜28℃、外気26℃、ホットスポット30℃前後の環境で安定しています。水温が20℃を下回ると活性が落ち、食欲低下や体調悪化につながることがあります。冬季はヒーターとサーモスタットで水温を管理してください。

水温
26〜28℃
外気温
24〜28℃
ホットスポット
30℃前後
冬季保温
ヒーター+サーモスタット必須

肉食寄りの雑食です。水棲ガメ用人工飼料を主食にしつつ、冷凍エビ・冷凍赤虫・小魚・貝類・水棲昆虫などを組み合わせると栄養バランスがとれます。高脂肪の餌(金魚の過剰給餌など)や単食は避け、多様な食材をローテーションすることが大切です。

餌のポイント:人工飼料への移行は個体差があります。ピンセット給餌で動かして見せる・水流で漂わせるなどで興味を引いてみてください。野菜系は少量補助として試す程度で問題ありません。

混泳・同居

同種間では比較的おとなしいことが多いですが、飼育スペースが狭いと争いが起きることがあります。複数飼育の場合は90cm以上の水槽を推奨します。他種との混泳は体格差や攻撃性を十分確認してから行ってください。

よくある失敗

陸場を省略する:「水棲種だから水だけでいい」という誤解が最も多いミスです。上陸できない環境は甲羅の状態悪化や体調不良の原因になります。

フィルターが弱すぎる:肉食系の食性は排泄量が多く、水が汚れやすいです。最初から外部式フィルターを選ぶことで長期的に安心です。

水温管理を怠る:夏の高温(32℃超)と冬の低温(20℃未満)はともにリスクになります。サーモスタット付きヒーターと夏の対策を準備しておきましょう。

♀の産卵場を用意しない:交尾確認後に産卵場がないと、抱卵した卵を体内に抱え続けて体調を崩す(卵詰まり)リスクがあります。繁殖を視野に入れる場合は土場を早めに用意してください。

💧 水質管理でいちばん大切なこと水質管理で最も効果的なのは、こまめな水換えです。理想は毎日少量でも新しい水に交換すること。フィルターは水換えを不要にする道具ではなく、その負担を減らす補助です。

推奨機材セット

近似種との比較

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種名甲長難易度陸場特徴
アフリカヨコクビガメ15〜25cm中〜上級乾季上陸あり別属・蝶番なし
ニオイガメ8〜14cm入門〜中級あると良い小型・入門向き
ピンクベリーサイドネック20〜28cm中級必須曲頸類・美しい腹甲

日本の住まい・季節に合わせた飼い方

大きさの上限
甲長 約12cm(アフリカ最小級の水棲ガメ)
水槽(日本規格)
60cm水槽から可・余裕があれば90cmへ
水深
13〜15cmと浅めに。流木・浅瀬の「逃げ場」を必ず設置
水温
サーモ付きヒーターで26〜28℃
冬(日本)
通年24〜28℃の加温が基本。冬季冷却(10〜18℃)は繁殖を狙う場合の選択肢
寿命
根拠のある記録なし(「15〜25年」説は出典不明のため断定しません)

甲長約12cm(米国魚類野生生物局の種情報)の小型種で、日本の60cm規格水槽から飼育を始められます。本種で最も重要な注意点はサイズではなく水深で、泳ぎが得意でないため深い水で溺れかけた報告が複数あります。水深は13〜15cm程度の浅めを保ち、足がかりになる流木や浅瀬を必ず用意してください。

日本の冬は無加温の室内が10℃前後まで下がりますが、これは本種にとって一方的な弱点ではなく、繁殖を狙う場合の冬季冷却(10〜18℃)に活用できる環境でもあります。ただし基本は通年24〜28℃の加温で、冷却は繁殖経験を積んだ飼育者向けの選択肢です。野生での生態がほとんど研究されていない種のため、当ページでは根拠を確認できない項目(寿命など)を断定していません。

出典・参考資料

野生生態がほぼ未研究の種のため、飼育値の多くは国内外の飼育実績にもとづく目安です。断定していない項目があります。

よくある質問

アフリカヨコクビガメとどう違いますか?種の違い
別属の別種です。ヒメハコヨコクビガメ(Pelusios nanus)はPelusios属で腹甲に蝶番を持ちます。アフリカヨコクビガメ(Pelomedusa subrufa)はPelomedusa属で蝶番がなく、乾季上陸という特殊習性を持つ別の種です。購入時に学名を確認することをおすすめします。
陸場は必ず必要ですか?環境
必須です。水棲寄りの種ですが、上陸・バスキング・産卵(♀)のために陸場を使います。陸場がないと体調悪化や甲羅の状態悪化につながることがあります。体全体が出られるサイズの陸場を必ず用意してください。
♀が潜ろうとしているのですが?繁殖
産卵行動の可能性があります。交尾確認後や春〜初夏の時期は特に注意が必要です。土や赤玉土を深さ10cm以上詰めたタッパーなどを産卵場として用意してください。産卵場がない状態で卵を抱えたまま上陸できないと、卵詰まりのリスクがあります。
何を食べさせればいいですか?
水棲ガメ用人工飼料を主食に、冷凍エビ・冷凍赤虫・小魚・貝類などを組み合わせます。肉食傾向が強いため、単食ではなく複数食材のローテーションが理想です。高脂肪の給餌は肥満につながるため注意してください。
どこで購入できますか?入手
爬虫類専門店やブリーダー経由での入手が主な方法です。流通量はそれほど多くないため、ぶりくら市・とんぶり市などの爬虫類イベントでCB個体を探すのも一つの方法です。健康状態(目の清潔さ・食欲・体表の状態)を確認してから入手してください。

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