30秒でわかる結論
亀にも睡眠と考えられる休息状態があります。ただし「亀は何時間寝る」と全種に共通する数字は決まっていません。
- 休息の長さは種類・年齢・季節・水温や気温・照明時間で変わります
- 水棲ガメが水中で休むのは普通。ただし自力で水面に出られることが前提です
- 夜は照明を消します。明るい白色光の常時点灯は避け、日中10〜12時間を目安にします
- 「動かない=寝ている」とは限りません。食欲低下・鼻水や泡・口を開けた呼吸を伴うときは体調を疑います
- 冬眠(冬季の休眠)と毎日の睡眠は別ものです。混同しないでください
亀も眠るのか
亀にも睡眠と考えられる休息状態があることは、複数の研究で報告されています。ヨーロッパヌマガメやゴファーガメの一種(Gopherus flavomarginatus)では徐波睡眠などの報告があり、アカミミガメ(Trachemys scripta)の脳では、徐波睡眠に関わるとされる構造(claustrum)が確認されています。
一方で、亀の睡眠はトカゲや哺乳類ほど研究が進んでいません。トカゲで報告されているような明確な睡眠周期が亀でも確立している、とまでは言えないのが現状です。このページでは断定を避け、「休息状態」という言葉で扱います。
何時間寝るのか
すべての亀に当てはまる「何時間」という数字はありません。次の要因で大きく変わるためです。
- 種類 — 水棲ガメ・リクガメ・ハコガメで生活リズムも休み方も違います
- 年齢 — 年齢によって活動パターンが変わることがあります
- 季節と温度 — 気温・水温が下がる時期は動きが減ります
- 照明の点灯時間 — 明暗のリズムがそのまま活動時間に影響します
飼育下では、
明るい時間を10〜12時間ほどにして毎日同じリズムを保つことが一般的な目安として用いられています。タイマーを使うと安定します。温度の決め方は
温度管理ガイド、照明は
UVBライトの選び方を参照してください。
水中で寝ても大丈夫なのか
水棲ガメが水中の物陰や底で動かなくなることは珍しくありません。前提として必要なのは、いつでも自力で水面に出て呼吸できることです。
- 水深に対して足場・陸場が足りているか(流木やスロープで水面に届くか)
- 体力が落ちて浮上できていないだけではないか
- 左右に傾いて浮いていないか
潜っていられる長さは種類と水温で大きく変わり、水温が低いほど長くなる傾向があります。総排出腔まわりでガス交換を補える種も知られていますが、その能力は種による差が大きく、すべての亀が水中で呼吸できるわけではありません。「水中で呼吸できるから浮上しなくても平気」とは考えないでください。
目を閉じる・首や足の姿勢
休息時に目を閉じ、首や手足を甲羅に引き寄せる姿勢は多くの亀で見られます。水棲ガメは水中の物陰・底・陸場の上で、リクガメやハコガメはシェルターの中や床材に潜り込んで休むことがあります。
姿勢そのもので健康は判断できません。近づいたときや給餌時に普段どおり反応するか、食欲と普段の活動が保たれているかを合わせて見てください。
夜はライトを消すべきか
夜は照明を消すのが基本です。昼と夜のリズム(明暗サイクル)は、活動・食欲・季節の感じ取りに関わります。
- 明るい白色光を一晩中つけっぱなしにしない
- 日中の点灯は10〜12時間程度を目安に、タイマーで毎日同じ時刻に切り替える
- 夜間も保温が必要な場合は、可視光をほとんど出さないセラミックヒーターなどを使い、暗い時間を確保する
水棲ガメ・リクガメ・ハコガメの寝方の違い
表は横にスクロールできます。いずれも一般的な傾向で、同じ分類でも種によって差があります。
種ごとの適温・容器・冬眠の有無は個別に異なります。種一覧から各種ページで確認してください。
昼間も寝る・寝すぎの判断
日中に休む時間があること自体は、異常とは限りません。問題になるのは「休息以外のサインが重なっているとき」です。
まず様子を見てよい
- 近づいたときや給餌時に普段どおり反応する
- 餌を食べている
- 日中に活動する時間がある
- 呼吸に変わった様子がない
- 適温が保たれており、活動時間が普段の範囲で少し減っている
体調の確認が必要
- 一日中ほとんど動かない
- 餌を食べない日が続く
- 鼻水・鼻から泡が出る
- 口を開けて呼吸する・音がする
- 傾いて浮く/目が腫れて開かない
冬眠(冬季の休眠)と睡眠は別もの
毎日の睡眠と、冬季の休眠(冬眠・ブルメーション)は別の状態です。冬季の休眠は気温の低下にともなって代謝そのものが大きく下がる季節的な状態で、期間も体の状態も日々の休息とは異なります。
当サイトの種データベースでも、冬眠するかどうかは種ごとに分けて記録しています。飼育下では、意図せず低温になって動かなくなっているだけ、という場合もあります。「冬眠しているのだろう」と自己判断せず、まず温度を実測してください。
よくある質問
亀は1日に何時間くらい寝ますか?
すべての亀に当てはまる「何時間」という数字は決まっていません。種類・年齢・季節・水温や気温・照明の点灯時間によって休息の長さは大きく変わります。年齢によって活動パターンが変わることがあり、気温や水温が下がる時期には動きが減ります。飼育下では、明るい時間を10〜12時間ほどにして毎日同じリズムを保つことが、一般的な目安として用いられています。
亀は本当に眠っているのですか?
亀にも睡眠と考えられる休息状態があることは、複数の研究で報告されています。ヨーロッパヌマガメやゴファーガメの一種(Gopherus flavomarginatus)で徐波睡眠などの報告があり、アカミミガメの脳では徐波睡眠に関わるとされる構造(claustrum)が確認されています。ただし亀の睡眠はトカゲや哺乳類ほど研究が進んでおらず、明確な睡眠周期が確立しているとまでは言えません。このページでは「休息状態」として扱います。
亀が水中で寝ていますが大丈夫ですか?
水棲ガメが水中で休むこと自体は珍しくありません。ただし前提として、いつでも自力で水面に出て呼吸できることが必要です。水深に対して足場や陸場が足りない、体力が落ちて浮上できない、といった状態は危険です。潜っていられる長さは種類と水温によって大きく変わり、水温が低いほど長くなる傾向があります。総排出腔まわりでガス交換を補える種もいますが、その能力は種によって差が大きく、すべての亀が水中で呼吸できるわけではありません。
夜はライトを消したほうがいいですか?
はい。昼と夜のリズムをつくるため、夜は照明を消すのが基本です。明るい白色光を一晩中つけっぱなしにすることは避けてください。日中の点灯は10〜12時間程度にし、タイマーで毎日同じ時刻に切り替えると安定します。夜間も保温が必要な場合は、可視光をほとんど出さないセラミックヒーターなどの器具を使い、暗い時間を確保します。
寝ているときに目を閉じたり、首や足を引っこめたりするのは普通ですか?
休息時に目を閉じ、首や手足を甲羅に引き寄せる姿勢は多くの亀で見られます。水棲ガメでは水中の物陰や底、陸場の上で動かなくなることがあり、リクガメではシェルターの中や床材に潜り込んで休むことがあります。姿勢そのものより、近づいたときや給餌時に普段どおり反応するか、食欲や普段の活動が保たれているかを合わせて見てください。
昼間もよく寝ています。寝すぎでしょうか?
日中に休む時間があること自体は異常とは限りません。ただし「一日中ほとんど動かない」「近づいたときや給餌時にも普段の反応がない」「餌を食べない」が重なる場合は、休息ではなく体調や環境の問題が疑われます。まず温度・照明時間・水質を実測して確認し、改善しない場合や他の症状を伴う場合は爬虫類を診られる動物病院に相談してください。
冬眠と睡眠は同じものですか?
違います。睡眠は毎日の休息ですが、冬眠(冬季の休眠)は気温の低下にともなって代謝そのものが大きく下がる季節的な状態で、期間も体の状態も別ものです。当サイトの種データベースでも、冬眠するかどうかは種ごとに分けて扱っています。飼育下で意図せず低温になり、動かなくなっているだけの場合もあるため、「冬眠しているのだろう」と自己判断せず、まず温度を実測してください。
動かないので寝ていると思っていましたが、確認したほうがよいサインはありますか?
「動かない=寝ている」とは限りません。鼻水や鼻からの泡、口を開けたままの呼吸、呼吸時の音、左右に傾いて浮く、目が腫れて開かない、食欲の低下が続く、といった様子があるときは休息と切り分けて考えてください。とくに呼吸に関わる様子が見られる場合は、日数にかかわらず早めに爬虫類を診られる動物病院に相談することをおすすめします。
あわせて読みたい
参考文献
- Ayala-Guerrero F, Calderon A, Perez M. Sleep patterns in a chelonian reptile (Gopherus flavomarginatus). Physiology & Behavior. 1988;44(3):333–337.
doi:10.1016/0031-9384(88)90034-0
/PubMed 3222357
リクガメの一種で、覚醒・静穏覚醒・静穏睡眠・活動睡眠の4状態が観察され、哺乳類の徐波睡眠・逆説睡眠に似た2相が報告された研究。
- Norimoto H, Fenk LA, Li HH, et al. A claustrum in reptiles and its role in slow-wave sleep. Nature. 2020;578:413–418.
doi:10.1038/s41586-020-1993-6
/PubMed 32051589
徐波睡眠中の鋭波の生成に関わる claustrum を爬虫類で同定した研究。徐波睡眠での役割が示されたのはフトアゴヒゲトカゲ(Pogona vitticeps)で、アカミミガメ(Trachemys scripta)については遺伝子発現の解析から相同構造の存在が示された。
- Libourel PA, Herrel A. Sleep in amphibians and reptiles: a review and a preliminary analysis of evolutionary patterns. Biological Reviews. 2016;91(3):833–866.
doi:10.1111/brv.12197
両生類・爬虫類の睡眠研究を横断的にまとめた総説。ヨーロッパヌマガメを含むカメでの報告もこの総説を通じて参照している。
照明・明暗サイクル(日中10〜12時間の点灯、夜間は消灯、夜間保温は可視光を出さない器具)については、爬虫類飼育の獣医・飼育情報で共通して案内されている内容を参照した。
カメの睡眠は研究例が限られており、時間や周期を断定できる段階にありません。本ページは断定を避け、幅または「種による」と明記しています。医療的な診断・薬の指示は行いません。