Species Guide
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ヘルマンリクガメ

Testudo hermanni boettgeri — Hermann's Tortoise

南ヨーロッパの地中海性気候に生息する、日本で最も人気の高い乾燥系リクガメ。強いUVB・赤玉土床材・野草主体の食事・徹底した乾燥管理がピラミッディングを防ぐ。CITES II種のためCB個体の証明書確認が必須。

甲長
15〜23cm
難易度
中級
寿命
50〜80年
食性
草食
⚠️ 湿りすぎが最大のリスク — 通気性が生死を分ける
多湿環境(湿度60%超が慢性的に続く状態)は呼吸器感染症(RI)・甲羅の軟化・カビ・皮膚炎の直接原因になります。密閉ケージは厳禁。木製ケージ+通気口の常時開放が基本です。
✅ CITES II — CB個体なら飼育合法
ワシントン条約付属書II掲載種です。国内で流通するCB(繁殖個体)の購入・飼育に法的制限はありません。購入時は必ず取引証明書を確認・保管してください。
🌞 land_dry の核心 — 乾燥・高UVI・野草の三角形
湿度40〜60%・UVI 2.9〜4.5・床材は赤玉土(小粒)。主食は野草(タンポポ・オオバコ・シロツメクサ)。市販フードは補助。カルシウムダスティングを週2〜3回実施することでピラミッディングを予防できます。

野生の生息環境 — 地中海性気候とは

ヒガシヘルマンリクガメ(Testudo hermanni boettgeri)はバルカン半島・イタリア中南部・トルコ南西部の地中海沿岸に広く分布します。生息地は石灰岩台地・マキア(地中海低木林)・乾燥した草地で、年間降水量は400〜700mm、夏は高温乾燥(30〜38℃)、冬は冷涼湿潤(最低5〜10℃)という明確な季節変動があります。

日照時間が非常に長く(年間2,500〜3,000時間)、強い紫外線に常にさらされることが本種の代謝を支えています。これが飼育下での高UVI設定の根拠です。野生下では日の出直後にバスキングを開始し、正午の高温時には低木や岩陰で休息するサーモスタット行動をとります。

成長速度

孵化時の甲長は約3〜4cm。飼育下では年間2〜4cmペースで成長し、10〜15年で成体サイズ(15〜23cm)に達します。成長期(孵化〜5歳)の栄養管理・カルシウム供給・UVB照射が甲羅の形成に直結するため、この時期の環境設定が最も重要です。過剰な給餌は急速成長を招き、ピラミッディングリスクを高めます。

飼育環境の数値目標

ケージサイズ
90×45cm〜
成体は120×60cm推奨。木製ケージが通気性◎。ガラスは湿気がこもりやすく不向き
ホットスポット
38〜42℃
バスキングランプ直下。岩・石タイルを置くと熱を蓄積し定着しやすい
クールエンド
22〜26℃
温度勾配は必須。ホットとの差10℃以上が理想。逃げ場を常に確保すること
夜間温度
18〜22℃
15℃以下は危険。冬季はパネルヒーターまたは保温球で維持。10℃以下は冬眠域
湿度
40〜60%
60%超が慢性化するとRI発症リスク。梅雨・夏季は除湿器の補助が有効
UVB / UVI
UVI 2.9〜4.5
砂漠用UVBランプ(デザート10%)が必須。6〜12ヶ月で交換。UVIメーターで実測推奨
床材の深さ
5〜10cm
赤玉土(小粒)が定番。適度な排水性と保湿性のバランスが最適。潜り行動を許容できる深さを確保すること。砂のみは誤食・感染リスクあり

冬季の温度管理

冬眠させる場合は体重・健康状態を事前に確認し、5〜10℃の安定した環境(冷暗所・専用クーラーボックス等)で管理します。冬眠中は2週間に1回の体重確認が推奨されています。体重が10%以上減少した場合は即座に起こしてください。

初心者・幼体・体調不良の個体は冬眠させないことを強く推奨します。非冬眠飼育では通年20℃以上を維持し、冬季はバスキング時間を12時間/日確保してください。

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地中海リクガメ 3種 + エロンガータ 比較表

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種名 甲長 難易度 湿度 温度帯 食性 成長速度
ロシアリクガメ 15〜20cm 入門〜中級 30〜50% 20〜40℃ 草食(野草・野菜) 年1〜3cm・やや遅い
ギリシャリクガメ 15〜25cm 中〜上級 40〜60% 22〜42℃ 草食(野草・多様) 年2〜4cm・亜種差大
エロンガータリクガメ 25〜33cm 中〜上級 60〜80% 24〜35℃ 草食(野草+果実少量) 年2〜5cm・大型化注意

食事 — 野草主体・カルシウム管理がすべて

主食はタンポポ・オオバコ・シロツメクサ・ヒメジョオンなどの野草、および小松菜・チンゲン菜・モロヘイヤなどの葉野菜です。市販のリクガメフードは野草が入手できない期間の補助として活用しますが、長期間フードのみにする場合は繊維質が高い製品を選んでください。

カルシウムダスティング(週2〜3回)は必須です。ビタミンD3配合のカルシウムパウダーを食事にまぶして与えることで、ピラミッディングの主要因であるカルシウム不足を防ぎます。カトルボーン(イカの甲)をケージ内に常時置く方法も効果的です。

与えてはいけない食材
ほうれん草(シュウ酸がカルシウム吸収を妨げる)・ケール(甲状腺影響)・タンパク質過多の食材(ミルワーム等の多量給与)。果物は糖分過多になるため月1〜2回程度の少量にとどめてください。

ピラミッディングの予防

甲板が重なるように盛り上がる現象で、主にカルシウム不足・タンパク過多・UVB不足・急速な成長が複合的な原因とされています。幼体期(孵化〜3歳)に最も発生しやすく、一度変形した甲羅は元には戻りません。野草主体の食事・週2〜3回のカルシウムダスティング・砂漠用UVBランプの使用・湿度40〜60%維持・過剰給餌をしないことが予防の柱です。

推奨機材 6選

land_dry ルート(木製ケージ・砂漠UVB・赤玉土・カルシウム管理)

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木製リクガメケージ(90〜120cm)
通気性が最重要。アクリル・ガラスケージは湿度がこもりやすく乾燥系には不向き。木製ケージは湿気を吸収し、40〜60%の適正湿度管理が格段にしやすい。成体には120×60cm以上を推奨。

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ビバリア スパイラルUVB デザート 26W
乾燥系リクガメ必須の砂漠仕様UVBランプ。UVI 2.9〜4.5の照射が可能で、カルシウム代謝・甲羅の健全な発育に直結する。多湿系用のフォレスト5%では出力が不足するため、必ずデザート10%を選ぶこと。6〜12ヶ月で交換。

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マルカン バスキングライト 50W
ホットスポット38〜42℃を作る定番バスキングランプ。消化促進・免疫機能・代謝維持に不可欠。距離20〜30cmで温度調整可能。夏場は30Wへの切り替えも検討。UVBランプと別軸で設置することで温度とUVIを独立管理できる。

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あかぎ園芸 赤玉土 小粒 20L
乾燥系床材の定番。適度な排水性と保湿性のバランスが優秀で、湿度40〜60%を自然に維持しやすい。誤食しても腸管への影響が少ない。深さ5〜10cmで潜り行動も許容。砂100%より粒状なので掃除も簡単。

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🍃
ビバリア リクガメフード 907g
野草が入手できないときの補助食。主食はあくまで野草だが、冬季や梅雨期などの野草不足期に活用する。繊維質が豊富な配合で、週1〜2回の使用が適正。フードに慣れさせすぎると野草を食べなくなる個体もいるため注意。

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🦴
爬虫類用カルシウムパウダー(ビタミンD3入り)
ピラミッディング予防の要。野草・フードにまぶして週2〜3回ダスティングする。ビタミンD3配合タイプならUVBが不足する冬季にも有効。カトルボーン(イカの甲)の常時設置と組み合わせると効果的。

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よくある質問

冬眠は必要ですか?させない場合どうすればいい?環境
野生下では冬眠が自然サイクルの一部ですが、飼育下での冬眠は健康管理の難易度が高く、初心者・幼体・体調不良の個体には推奨しません。冬眠中に衰弱死するケースも報告されています。非冬眠飼育では通年18℃以上(推奨22℃以上)を維持し、バスキング照射は12時間/日を確保します。冬眠を行う場合は体重の10%以上減少を目安に起こす判断をしてください。
野草だけで飼育できますか?市販フードは使わなくてよい?食事
理想的には野草(タンポポ・オオバコ・シロツメクサ)を主食にする飼育が最適です。野草のみで栄養バランスは概ね満たされますが、カルシウムパウダーのダスティングは野草食でも必要です。市販フードは野草が入手できない冬季・梅雨期の補助食として有用ですが、長期間フードのみにすると繊維不足・糖分過多になる製品があります。野草+カルシウム+フード補助の組み合わせが現実的な運用です。
カルシウムはどのくらいの頻度で与えればよいですか?食事
週2〜3回のダスティングが標準的な目安です。幼体(5歳以下)は成長が速いためカルシウム需要が高く、週3〜4回に増やすことを推奨する飼育者もいます。ビタミンD3配合タイプは過剰摂取のリスクがあるため、週2回程度を上限にするのが安全です。D3なしのカルシウムパウダーはUVBと組み合わせて使用してください。
ピラミッディングは防げますか?すでにデコボコになっています。健康
予防は可能ですが、一度変形した甲羅は元に戻りません。原因は①カルシウム不足②タンパク過多③UVB不足④急速成長(過剰給餌)⑤慢性的な低湿度の複合です。幼体期(孵化〜3歳)が最も発生しやすい時期のため、この期間の環境設定が最も重要です。現在進行中の個体への対処は、カルシウムダスティング再開・UVBランプ交換・給餌量の見直しから始めてください。
湿度は何%に保てばいいですか?日本の梅雨はどう対処する?環境
通年40〜60%が適正範囲です。60%超が慢性的に続くと呼吸器感染症(RI)・甲羅軟化・カビの原因になります。日本の梅雨(6〜7月)は湿度が70〜80%になる地域も多く、除湿器の補助・木製ケージの通気口全開・床材の乾燥時交換が対策になります。デジタル温湿度計を設置して毎日確認することを強く推奨します。
成長速度の目安を教えてください。何年で成体になりますか?環境
飼育下では年間2〜4cmの甲長増加が目安で、10〜15年で成体サイズ(15〜23cm)に達します。成長速度は給餌量・温度・UVB照射時間に左右され、過剰給餌では急速成長してピラミッディングリスクが高まります。成長期はピンポン球サイズから始まるため、幼体には45〜60cmケージからスタートし、成長に合わせてケージを拡張することを推奨します。
UVBランプはいつ交換すればよいですか?環境
6〜12ヶ月での交換が目安です。UVB出力は経時劣化しますが、見た目(点灯・明るさ)では判断できません。UVIメーター(ソルメーター等)で定期計測し、UVI 2.9を下回ったら即交換してください。使用開始月をケージにメモしておくと管理しやすいです。ランプ切れではなくUVB低下が問題になるため、点灯していても油断禁物です。

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