ヤシガラ・赤玉土・デザートソイルからバークチップまで。カメが暮らす「野生の地面」から逆算して、保湿性・もぐりやすさ・安全性で床材を選びます。
床材選びでまず考えたいのは、そのカメが野生でどんな地面に暮らしているかです。林床の落ち葉と湿った土の上で暮らす森林性のヤマガメ・ハコガメには保湿性の高いヤシガラや黒土系を、乾いた草原や半砂漠に暮らすリクガメには水はけのよい土や砂系を——というように、原産地の環境に近づけるのが基本です。
同時に外せないのが安全性です。粒が細かすぎる砂や、餌と一緒に飲み込みやすい床材は、誤飲による腸閉塞(インパクション)の原因になります。筆者は「もぐる・歩く・掘る」という行動が自然にできて、かつ誤飲リスクの低い素材を、種ごとに使い分けることをおすすめしています。
森林性のカメ飼育で定番のヤシガラ床材。細目で表面がやわらかく、水分をよく保つので高湿度の維持に向きます。ヤマガメ・ハコガメが体をうずめて落ち着けるのも利点。乾燥してきたら霧吹きで湿らせ、汚れた部分は部分交換しながら使うと長持ちします。
乾燥した環境を好むリクガメ向けに作られた土系の床材。適度に締まって掘った形が保たれやすく、自然な穴掘り行動を引き出せます。粉塵が比較的少なく扱いやすいのも利点。霧吹きの量で湿り具合を調整でき、乾燥系〜やや湿度を要する種まで幅広く使えます。
園芸用の赤玉土はリクガメ床材の定番。水はけと保水のバランスが良く、湿らせ方しだいで乾燥系にも多湿系にも対応できる万能選手です。大容量で価格も手頃なので、広いケージの床材コストを抑えられます。粉が気になる場合は軽くふるってから使うと快適です。
樹皮を砕いたバークチップ。粒が大きめで通気を保ちつつ、保水力もあり、熱帯雨林に暮らす森林性種の高湿度維持に向きます。チップ状なので誤飲しにくく、見た目も自然。ヤシガラと混ぜて使うと、保湿性と通気性のバランスを取りやすくなります。
保水力と消臭性をもたせたソイルタイプの床材。湿度を保ちやすく、ニオイを抑えてくれるので、高湿度飼育でケージ内がムレやすい森林性種に向きます。粒がまとまっていて掘り跡が残りやすく、もぐる行動も観察できます。大容量で広めのケージにも対応します。
クルミの殻を細かく砕いた天然素材の床材。さらりとした感触で歩きやすく、乾燥系のレイアウトになじみます。砂系より軽く扱いやすいのが特長。ただしどんな床材でも餌と一緒の誤飲リスクはゼロではないため、給餌は皿の上で行うなど、飲み込み対策を併用すると安心です。
粒の細かい極細目のヤシガラ。やわらかく体に優しいので、皮膚のデリケートな幼体や、細かい床材を好む種に向きます。保水力が高く、霧吹きでしっとりした林床のような環境を作れます。細かいぶん乾くとやや舞いやすいので、湿らせて使うのが基本です。
黒色のソイル床材。カメの色や緑のレイアウトが映え、観察性・見栄えに優れます。保水性があり多湿環境を作りやすいので、森林性のレイアウトに。土系らしくもぐる・掘る行動も引き出せます。汚れが目立ちにくい反面、清潔維持のため定期的なリフレッシュを心がけてください。
1位の細目に対し、こちらは粒の大きい粗目タイプ。通気性が高く、ムレを抑えたいときや、底床の下層に敷いて排水層をつくる使い方に向きます。細目と組み合わせて「下層は粗目・表層は細目」と層をつくると、保湿と通気のバランスが取りやすくなります。
砂漠性の土壌を再現した乾燥系ソイル。赤玉土より粒がしっかりしており、ほどよい保湿性と水はけのバランスが取れています。ロシア・ヘルマン・ギリシャリクガメの床材として国内で広く使われています。排泄した箇所を部分取り出しして交換できるので、全体の交換頻度を減らせます。
天然ベイマツ樹皮を素材にした森林系床材。霧吹きで適度に湿らせると保湿性が高く、スペングラーヤマガメやヒラセガメの林床環境を再現しやすい。粒が大きめで誤飲リスクが低く、カビが生えにくいのも利点です。ヤシガラ土と混ぜて使う飼育者も多い素材です。
くるみの殻を砕いた天然素材の砂。消臭効果があり、乾燥管理のしやすい床材として使われています。誤飲した場合、小粒のものは消化管に影響することがあるため、与え方に注意が必要です。幼体よりも成体での使用、または少量の敷き砂として使うのが安心です。
熱帯・亜熱帯の土壌を再現した保湿力の高いソイル。アカアシリクガメやネンリンヤマガメなど多湿熱帯産の種に向きます。水分を含むとほどよく固まり、カメが掘る行動に対しても崩れにくい特性があります。霧吹き後に適度な硬さを保つ点が、乾燥し過ぎず湿り過ぎない床環境を作りやすくします。
園芸用の赤玉土小粒は、リクガメ飼育者の間で「最強コスパ床材」と呼ばれています。ホームセンターで大容量を安価に入手でき、適度な保湿性と水はけのバランスが取れています。細粒のため誤飲しても消化管を傷つけにくく、汚れた部分だけ取り出して交換しやすい点も実用的です。
砂漠の赤い砂を再現した人工砂。チャコリクガメやソマリアリクガメなど砂漠産の種のケージに使うと、産地の雰囲気が出ます。ただし細かい砂のため誤飲リスクがあり、消化管への影響に注意が必要です。赤玉土やデザートソイルとの混合使用や、一部表層に敷く使い方が安全です。