アラブギリシャとも呼ばれる、中東レバント地方の明色・小型亜種。日本のギリシャリクガメ流通ではイベラと並ぶ定番。乾燥地出身のため「冬眠させない通年加温」が管理の基本で、同じギリシャでも、イベラとは冬の育て方がまるごと変わる。CITES II。
冬眠させない管理が基本なので、1年を通して「朝バスキング→採食→昼寝」のリズムが変わらない。季節でスイッチが切り替わらないぶん、毎日の観察がそのまま健康管理になる。明るい甲羅は乾いた床材の上でよく映える。
イベラ(20〜30cm)と違い、この亜種は小型にとどまる。90cm級のケージで成体を終生維持しやすく、日本の住宅事情との相性は良い。ただし寿命は50年を超えることを前提に考えておきたい。
同じ「ギリシャリクガメ」でも、ゴールデン(terrestris)は冬眠がごく浅いか、しない乾燥地個体群の出身です。イベラの飼育書どおりに数ヶ月の冬眠をさせると、体力を消耗して致命的な結果になり得ます。この亜種は「冬眠させない」が基本——ここがイベラとの最大の違いです。
ゴールデンギリシャリクガメは、ギリシャリクガメ(Testudo graeca)の中東亜種 Testudo graeca terrestris(Forskål, 1775)です。TTWGチェックリスト(2021)はギリシャリクガメに10亜種を認めており、terrestrisはその東側グループの一つです。
トルコ南東部からシリア・レバノン・ヨルダン・イスラエル周辺にかけての、レバント地方の乾燥した丘陵・半砂漠・低木地帯に分布します。雨の少ない土地で、夏は非常に暑く乾き、冬も日本の冬ほどは冷え込みません。「強い日差し・乾いた地面・穏やかな冬」——この3つが、飼育で再現したい環境です。
| 識別点 | ゴールデン(terrestris) | イベラ(ibera) |
|---|---|---|
| 地色 | 明るい黄金色〜淡いクリーム色。黒斑は少なく淡い | 黄褐色〜暗色。黒斑がはっきりした個体が多い |
| 成体サイズ | 小型(オス13cm前後・メス18cm前後) | 大型(20〜30cm) |
| 後肢の距(けづめ) | あり(ギリシャリクガメ共通) | あり(ギリシャリクガメ共通) |
| 冬の扱い | 冬眠させない管理が基本 | 冬眠できる(初心者は通年加温推奨) |
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ヘルマンリクガメとの区別は、太腿の距(ギリシャリクガメ属共通の突起)と、尾先に爪状の鱗がないことで付けられます。雌雄差:メスはオスより大きく育ちます。オスは尾が長く太いのが目印です。
環境が安定すればおびえることも少なく、餌の気配によく反応します。乾いた床材を歩き回り、強い日差し(バスキング)を長めに浴びるのがこの亜種らしい過ごし方です。状態が上がった飼い込み個体・CB個体は丈夫で飼いやすいと評価される一方、輸入直後の個体は動きが少なく餌食いも不安定になりがちです。「今この個体がどの状態にいるか」を見きわめることが、この亜種と付き合う第一歩になります。
乾燥地の亜種なので、地中海系リクガメの中でも「乾き」と「暖かさ」に寄せた管理が合います。夜間も20℃を下回らせない運用が無難です。UVBはFerguson Zone 3の帯域で、T5 HO直管10〜12%クラスが基本です(照射距離で実効値が変わるため、特定製品の断定はしません)。日本の梅雨〜夏は蒸れが最大リスクで、通気の確保を最優先してください。
野草と葉物野菜を中心にした高繊維・低タンパクの草食です。タンポポ・オオバコなどの野草、チンゲンサイ・エンダイブなどの葉物を軸に、市販フードは補助にとどめます。原産地では乾燥に強い草や多肉質の植物も食べており、繊維質の多い餌との相性が良い亜種です。果物の常用は避け、カルシウム剤とUVBの併用を基本にしてください。
冬眠させない通年加温が基本です。ギリシャリクガメは「冬眠できる種」として知られますが、それは主にイベラなど寒い地域の亜種の話です。terrestrisが暮らす中東の乾燥地は冬も温和で、冬眠がごく浅いか、しない個体群が多いことが飼育資料で繰り返し指摘されています。
EUや国内でのCB繁殖例はありますが、ヘルマンやイベラほど繁殖情報が体系化されていません。亜種単位の詳細な繁殖データ(産卵数・孵卵条件の標準値)は限られるため、当サイトでは断定的な数値を示しません。繁殖を目指す場合は、産地系統の揃ったCBペアの入手と、専門ブリーダーの一次情報の参照をおすすめします。
「ゴールデンギリシャ」「アラブギリシャ」の名で流通し、ギリシャリクガメの中ではイベラと並ぶ定番です。歴史的に中東からのWC・FH(野生由来)個体が多く流通してきたため、価格は手頃な一方で状態の個体差が大きいのが実情です。選び方の目安:①目に力があり歩行がしっかりしている、②その場で餌を食べるところを確認できる、③排泄物の状態や駆虫歴を説明できる販売者である、④できればCBまたは長期飼い込み個体——この4点を確認してください。
条件付きで向きます。「CB・飼い込み個体を選ぶ」「冬眠させず通年加温する」という2つの条件を守れるなら、小型で扱いやすく、冬眠管理という難所を最初から避けられるぶん、むしろ初心者と相性の良い面があります。逆に、状態不明のWC個体を安さで選ぶと、立ち上げでつまずく典型パターンに入ります。個体選びがこの亜種のほぼすべてです。
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| 名前 | 甲長 | 冬の扱い | 流通 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ゴールデンギリシャ このページ | 13〜18cm程度 | 冬眠させない(通年加温) | 定番(WC由来多め・CB推奨) | 明色・小型・中東の乾燥地亜種 |
| イベラギリシャ | 20〜30cm | 冬眠可(初心者は通年加温) | 定番(EUCBが中心) | 最大亜種・耐寒性がある |
| ギリシャリクガメ(親種ページ) | 15〜25cm | 系統差が大きい | — | 種全体の解説(10亜種) |
| ヘルマンリクガメ | 15〜23cm | 冬眠可 | 定番(CB豊富) | 別種。距がなく尾先に爪状鱗 |
飼育温度・湿度などの数値は、亜種単位の一次資料が乏しい項目について地中海系リクガメの一般的な目安を含みます。その場合は断定を避けています。冬眠に関する記述は複数の専門飼育資料の一致に基づきます。