Species Guide
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ヘルマンリクガメ

Testudo hermanni — Hermann's Tortoise

南ヨーロッパの地中海沿岸、岩がちな丘陵と低木の林縁に暮らすリクガメ。EU産CBの流通が安定しており、地中海系リクガメのなかで最も飼育実績が積み重ねられた種のひとつです。

ヘルマンリクガメの生体写真
Photo by Kostas Zontanos / iNaturalistCC BY 4.0
甲長(ヒガシ亜種)
15〜23cm
難易度
中級
CITES
II(CB推奨)
食性
草食
🌡️ バスキング
33〜38℃
📐 必要ケージ
90cm以上
💧 湿度
40〜60%
推定寿命
50〜80年以上
初心者向き?中級。地中海産リクガメの入門種。温度勾配とUVBを整えれば長期飼育可。
難易度 ★★☆☆☆入門〜中級
この亀が向いている人
  • ✓ ヨーロッパリクガメの定番種を飼育したい
  • ✓ 60〜90cm木製ケージから管理したい
  • ✓ 乾燥系で湿度管理が比較的シンプル
  • ✓ CB個体の流通が多く入手しやすい種
この亀が向いていない人
  • ✗ 完全な入門種を求める方(温度・UV管理が必要)
  • ✗ 冬眠誘発を避けたい方(誘発傾向あり)
  • ✗ CITES II書類確認が負担に感じる方
Life Preview

ヘルマンリクガメと暮らすと、どんな毎日になる?

📅1年後の姿
ケージを歩き回り、バスキングを繰り返す。

1年後、亀は甲長10〜13cm程度。毎日バスキングゾーンに出てきて日光浴をし、その後ゆっくり草を食べる。その繰り返しが日常になる。観察すると個体差が見えてきて愛着が深まる時期。

📏10年後のサイズ感
手のひらを超え、存在感が増す。

10年後の甲長は16〜18cm前後。重さは600〜900g程度が目安。90cmケージがやや手狭に感じ始める個体も出る。食欲は旺盛で、成体のたくましさが出てくる頃。

向いている飼い主
リクガメの「ゆっくりした時間」が好きな人。
  • 毎日決まった時間に餌をあげることが苦にならない
  • 大人しくじっくり観察する生き物が好き
  • 50年以上の長いおつき合いを最初から覚悟できる
  • 陸棲なので水換えが苦手・臭いが心配な人にも向く
向いていない飼い主
生活の変化が多い人、または短期間での体験を求める人。
  • 引っ越しや海外転勤の可能性が高い
  • なつく・触れ合える生き物を想定している
  • 初期費用¥40,000〜の準備が難しい段階
  • 冬眠管理(もしくは保温での通年管理)をする覚悟がない
⚠️後悔しやすいポイント
💡
「思ったより動かない」と感じる時期がある。

リクガメは気温が低い日や消化中は動きが少なくなる。病気では?と心配になりやすいが、環境が適切であれば季節的な変化であることが多い。また寿命が長い分、飼い主の生活変化(進学・就職・結婚)をまたぐことを事前に家族で話し合っておくと安心。

この亀を健康に育てる初期費用
¥30,000〜¥62,000
月額目安
¥1,000〜¥3,000

⚠ 初心者が最初に失敗しやすいのはUVBと温度管理です。機材を後回しにすると、迎えてから慌てて買い足すことになりがちです。

迷っているなら比較してみましょう
ヘルマンリクガメ vs ロシアリクガメ 徹底比較 →
⚠ CITES II 掲載種 国内で繁殖されたCB個体は飼育可能です。購入時は国内CBであることを確認してください。輸入個体には書類(付属書II証明書)が必要です。

野生の暮らし

ヘルマンリクガメは南ヨーロッパの地中海沿岸、スペイン東部からトルコ西部にかけて広く分布しています。典型的な生息環境は日当たりの良い岩がちな丘陵地や、低木や草がまばらに生える半開放的な地中海性植生です。夏は高温乾燥、冬は低温多湿という地中海性気候が基盤で、晴れた日は早朝から太陽光で体を温め活動を始めます。

野生では46科134種以上の植物を食べることが確認されており、タンポポ・アザミなどキク科植物を好む傾向があります。動物性食品はほとんど食べない、ほぼ完全な草食動物です。

亜種は3つ確認されており、日本ではヒガシヘルマンリクガメが多く流通しています。飼育環境下で繁殖した個体が主に出回っているため、人に慣れており環境への順応性が高い個体が多いです。ニシ亜種はヒガシより小型で、最大18cm前後です。

ヒガシとニシの違い:ヒガシ亜種(boettgeri)は最大23cm前後で体色がやや明るく黒と黄のコントラストがはっきりしています。ニシ亜種(hermanni)は最大18cm前後と小型で体色がやや黒っぽい。日本の流通量はヒガシ亜種が圧倒的に多いです。

飼育環境の数値

活動に適した温度帯は20〜30℃で、夏は暑さを避けて朝夕に活動します。飼育下ではこの温度勾配をケージ内で再現することが重要です。

バスキングスポット
33〜38℃
体温を上げるためのホットスポット。ライトから10〜15cm程度の距離で調整する
ケージ全体(昼間)
25〜30℃
クールスポットは25℃前後に保ち、温度勾配を設ける
夜間温度
18〜22℃
成体は一定の低温に耐えられる。幼体は20℃以下にしないよう注意
湿度
40〜60%
乾燥系だが極端な乾燥は皮膚に悪影響。高湿度(70%超)は避ける
UVB / UVI
UVI 2.9〜4.5
地中海リクガメはFerguson Zone 3。砂漠用UVB(デザート10〜12%)をバスキング域に設置し、UVIメーターで実測するのが理想。6〜12ヶ月で交換
推奨ケージサイズ
90cm〜
成体には120cm幅以上が理想。よく歩き回るため床面積が重要
床材の深さ
5〜10cm
赤玉土(小粒)が定番。適度な排水性と保湿性のバランスが良く、潜り行動を許容できる深さを確保する。砂のみは誤食・感染リスクあり

餌と水の与え方

野草・葉野菜を主食にします。タンポポ・オオバコ・シロツメクサなどが手に入る季節は積極的に活用してください。チンゲン菜・コマツナ・ケールなども適しています。果物は糖分が多いため少量に留め、タンパク質(動物性食品)は基本的に不要です。

人工フード(レップカルやマズリなど)は主食として利用できますが、繊維質を補うため野草・野菜との組み合わせが推奨されます。カルシウムパウダーを餌に振りかけることで甲羅の形成を助けます。

水は浅めの水入れを常設します。温浴(週1〜2回、30℃のぬるま湯で15分程度)は水分補給と排泄促進に効果的です。

💧 水入れは毎日清潔にリクガメも水入れで水を飲み、体を浸けます。水はすぐに汚れ、雑菌が繁殖しやすいので、毎日新しい水に替えて清潔に保つことが健康の基本です。

ピラミッディングの予防

甲板が重なるように盛り上がる現象で、主にカルシウム不足・タンパク過多・UVB不足・急速な成長・低すぎる湿度が複合的な原因とされています。幼体期(孵化〜3歳)に最も発生しやすく、一度変形した甲羅は元には戻りません。野草主体の食事・週2〜3回のカルシウムダスティング・Ferguson Zone 3に沿ったUVB・湿度40〜60%の維持・過剰給餌をしないことが予防の柱です。

冬季の温度管理と冬眠

冬眠させる場合は体重・健康状態を事前に確認し、5〜10℃の安定した環境(冷暗所・専用クーラーボックス等)で管理します。冬眠中は2週間に1回の体重確認が推奨され、体重が10%以上減少した場合は速やかに起こしてください。

初心者・幼体・体調不良の個体は冬眠させないことを推奨します。非冬眠飼育では通年20℃以上を維持し、冬季はバスキング時間を10〜12時間/日確保してください。夜間は15℃を下回らないようパネルヒーター等で補助します。

地中海リクガメ 3種 + エロンガータ 比較表

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種名甲長難易度湿度温度帯食性成長速度
ロシアリクガメ 15〜20cm入門〜中級30〜50%20〜38℃草食(野草・野菜)年1〜3cm・やや遅い
ギリシャリクガメ 15〜25cm中〜上級40〜60%22〜38℃草食(野草・多様)年2〜4cm・亜種差大
エロンガータリクガメ 25〜33cm中〜上級60〜80%24〜35℃草食(野草+果実少量)年2〜5cm・大型化注意

推奨機材セット

ヘルマンリクガメの飼育に必要な機材を、野生環境からの逆算でまとめます。

日本の住まい・季節に合わせた飼い方

バスキング
ランプ直下32℃前後・ケージ内に温度勾配
UVB
強UVB帯(Ferguson Zone 3)。T5 HO 10〜12%基本
最大甲長
亜種差が大きい(西亜種はおおむね18cm以下・東亜種ボエトゲリは最大28cm級)
冬眠
原産地では成体4〜5ヶ月。幼体は3〜4年目から短期で段階導入
日本の冬
冬眠なしの通年加温でも飼育できる。初心者は冬眠なしを推奨

ヘルマンリクガメの最大サイズの資料差は、主に亜種の違いによるものです。西亜種(T. h. hermanni)はおおむね18cm以下、東亜種(T. h. boettgeri)は最大28cm級に育ちます。国内流通は大きくなる東亜種系(EU産CB)が中心のため、ケージは28cm級まで育つ前提で見積もるのが安全です。

冬眠は原産地では成体で4〜5ヶ月に及びますが、段階的な導入と健康管理が前提の技術です。日本では冬眠なしの通年加温飼育が広く定着しており、初心者はまずそちらを選んでください。UVBはロシアリクガメと同じ強UVB帯(Zone 3)で、器具はT5 HO直管が基本です。

出典・参考資料

ページ内の数値は国内飼育の一般的な目安を含みます。確定的な資料が乏しい項目(寿命など)は断定していません。

よくある質問

ヒガシ亜種とニシ亜種、どちらを選べばいいですか?
日本での流通量はヒガシ亜種(boettgeri)が圧倒的に多く、入手しやすいです。最大23cm前後と少し大きくなりますが、飼育環境はほぼ同じです。ニシ亜種(hermanni)は最大18cm前後と小型のため、スペースに制約がある方に向いています。どちらも国内CBが中心で、コンディションの良い個体が多いです。
冬眠はさせた方がいいですか?
野生では冬眠しますが、飼育下では必須ではありません。冬眠中の管理ミスは命に関わるリスクがあるため、初心者は室内保温で冬眠させない方法を選ぶケースが多いです。冬眠させる場合は冬眠前に健康確認を行い、体重が適切か、寄生虫がないかを確認してから行ってください。
甲羅のこぶ(ピラミッド)が気になります
甲板が盛り上がる「ピラミッディング」はカルシウム不足・UVB不足・タンパク質過剰・急成長などが原因として挙げられています。一度変形した甲羅は元に戻りませんが、適切な環境で育てることで進行を抑えることができます。食事の多様化、UVBの確保、適度な温浴が予防になります。
餌を急に食べなくなりました
最初にバスキングスポットの温度を確認してください。ホットスポットが33℃以上に達していないと消化器が正常に働かず食欲が落ちます。秋以降は季節性拒食(冬眠準備)の可能性もあります。2週間以上続く場合や体重減少がある場合はトラブルページを参照してください。
初心者向けですか?
中級者向けです。ロシアリクガメよりやや扱いに知識が必要ですが、EU産CBの流通が安定しており、飼育情報も豊富なため、基本を押さえれば初めての方でも十分飼育可能です。
臭いはありますか?
基本的に臭いは少なめです。排泄物のこまめな除去と床材の定期交換を行えば、室内飼育でも気になりにくい種です。
寿命はどのくらいですか?
適切な飼育下で50〜80年が目安です。長期的に付き合うことを前提に迎えてください。
電気代はどのくらいかかりますか?
地中海性リクガメで体格も中型のため、電気代は比較的穏やかです。UVBランプとバスキングライトを1日10〜12時間点灯する構成で、月あたりおおむね¥1,000〜1,800程度が目安です(地域・電力契約により変動します)。冬季は保温器具の分だけ加算されます。

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