ノーザンダイヤモンドバックテラピン
カロリナダイヤモンドバックテラピン
オルナータダイヤモンドバックテラピン
塩性湿地という、あいまいな水の場所
ダイヤモンドバックテラピン(Malaclemys terrapin)が暮らす塩性湿地(ソルトマーシュ)は、一日に2度、潮が満ちて引きます。水の塩分濃度は潮のたびに変わり、葦の茂みの奥は薄く、河口の開けた場所は濃い。純粋な海水でも純粋な淡水でもない——その絶えず揺れる環境の中で、テラピンは生きています。
この野生の来歴が、飼育の核心を教えてくれます。塩分濃度0.5〜1.0%ほどの「薄めた塩水」で管理すること。これは妥協点ではなく、彼らの体が求める水です。
汽水の作り方——難しくない、慣れの問題
用意するのは、カルキ抜きした水道水と、観賞魚用の人工海水の素、そして比重計か塩分計だけです。目安の塩分濃度は0.5〜1.0%——海水の約1/3〜1/6ほど。水換えのたびに同じ濃度の水を作り、入れ替えるだけ。手順は普通の水換えと変わりません。
塩分が高すぎると脱水を起こし、低すぎると長期的に体調が落ちます。「だいたいこのくらい」では続かないので、毎回計測するのが習慣です。一度慣れれば、淡水ガメの管理と大差ない作業になります。
フィルターは塩分でサビにくい素材を確認してください。金属パーツが多い製品は汽水には向きません。
泳ぎ、干し、また泳ぐ——テラピンの一日
テラピンは泳ぎが得意な水棲ガメですが、甲羅干しも欠かしません。野生では葦の茎に登ったり、浅瀬の砂地に上がって体を乾かします。この「泳ぐ水」と「乾かす陸場」の両方を飼育でも用意することが、健康を守ります。
- 水槽サイズ:60cm以上。メスはオスより大きく23cm前後になるため、将来的に90cmを前提に選ぶほうが後悔しません。
- 水温:20〜28℃。温帯の海岸産種なので、夏の30℃超えは危険です。エアコンか水槽クーラーで対応してください。
- 陸場:全身が乾ける広さの陸場とバスキングスポットを置きます。乾燥の機会が少ないと皮膚病や甲羅の問題が出やすくなります。
- UVB:屋内飼育では必須。UVB100(森林・水棲用の5.0相当)で十分です。
- 餌:配合フード(カメプロス等)を主食にできます。副食に冷凍エビや貝類を与えると食いつきがよく、食性の多様性も保てます。
- フィルター:塩分に弱い金属パーツのない製品を選びます。外部フィルターか上部フィルターが安心です。
亜種と流通について
ダイヤモンドバックテラピンには7亜種が知られ、日本への流通は主に3亜種です。いずれも国内CB流通が増加しており、入手環境が整いつつあります。購入時は産地・CB証明を確認してください。
ノーザンダイヤモンドバックテラピン
Malaclemys terrapin terrapin
上級
M(15〜23cm)
基亜種。ダークグレーの甲羅に菱形の模様が入る。国内CB流通確認済み。汽水管理が必要だが3亜種の中では比較的流通量が多い。
カロリナダイヤモンドバックテラピン
Malaclemys terrapin centrata
上級
M(13〜21cm)
最も美しいとも言われる亜種。甲羅の同心円模様が見事。国内CBの流通が増えている。模様の美しさからコレクター人気が高い。
オルナータダイヤモンドバックテラピン
Malaclemys terrapin macrospilota
上級
M(13〜20cm)
フロリダ産の派手な模様が特徴。国内CB流通が最も盛んで入手しやすい(アクアスペース等で入荷確認済み)。3亜種の中で最も流通量が多い。
「塩水は難しそう」は誤解です。人工海水の素と比重計さえあれば、水換えの手順は普通の水棲ガメとほぼ同じ。道具をそろえてしまえば、難しさより面白さが勝ります。テラピンを飼いたいと思ったのなら、それが一歩を踏み出すのに十分な理由です。
テラピンの飼育記録を note で読む
ダイヤモンドバックテラピンの飼育体験や、汽水管理のコツについて、カメライフガイドのnoteでも発信しています。
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